君がここに居たこと~初恋の奇跡~




「 そういう知識も経験もないから
  想像でしか言えないんだけど
  その場所に行けば思い出せるってことは
  その場所に思い出す
  ”鍵”があるんでしょ? 」


「 ・・・・鍵? 」


「 だって彼と連絡を取り合う前まで
  彼の存在すら忘れてたんだから
  その場所に行かないと思い出せない
  ってことでしょ? 」




酔いが回ってきたのは
へらっと笑いながら首を
傾げる吉田さんに”多分”と
曖昧な返事をした。




「 彼が来なくてもそこに鍵があれば
  自然と思い出すだろうし、
  思い出せない分を話してもらえば
  きっと全部思い出すと思うんだけど・・ 」




難しいね、ってお互い苦笑して
私も料理に手をつけた。
喉に詰まっていた何かが
なくなった気がした。




そっか、そっか。って
自分の中にないはずの答えは
見えないだけで確かにあって
私の中できっと答えは出ていて。




記憶と同じで、分からないけど
きっと何かの弾みでその答えは
はっきりしたものになる気がする。





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