君がここに居たこと~初恋の奇跡~
『 ほら、ちゃんと部屋に入って 』
「 ・・・・・ッふぇ・・・ 」
『 繭? 』
”あきが居る”
私の中にも、この世界にも。
見えないあきに不安を感じて
そんな私にはこれが嬉しすぎて
どうしようもなくて。
あきの声を無視して
泣き続けていた私は
袖で涙を拭いながら声を押し殺していた。
『 ───────繭の泣き顔、見られたくない 』
「 ・・・・・へ? 」
『 だから早く入って、繭 』
お願いだから、と掠れた声で言われて
さすがに無視なんかできなくて
驚きすぎて涙が止まった。