君がここに居たこと~初恋の奇跡~




出ろ、と言ったり
入れ、と言ったり。




朝から振り回されっ放しだな、と
苦笑しつつ、部屋に入った。




ドアを閉めてテーブルの上に
紙袋を置いて、中から小さな
箱を取り出す。




「 ・・・・ッ 」




リボンを解いて、箱を開けて
やっぱり私はまた泣いていた。




『 不安はなくなった? 』


「 ・・・・・ッ 」




声にならなくて、何度も頷きながら
そっと指輪を手に取る。




”Amour d’eternite”




刻印されたその文字の意味を
聞こうとしたけど、
やっぱり声にならなかった。




< 96 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop