最初で最後の恋文
プロローグ
卒業式の朝、玄関を開けると雪が積もっていた。
もう、三月だというのに春を拒むかのように、その雪はまだ冬を強調していた。

いや、あたしがまだ春を拒んでいるからかもしれない。
この雪は、あたしの気持ちの表れなのだとフッと思い、空を見上げるとスズメが一羽気持ちよさそうに飛んでいるのが目に入った。

新しい春はまだ来なくていい。
まだ、この冬の中で立ち止まっていたい。



だって、まだアナタの気持ちがわからないから…。
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