最初で最後の恋文
生徒会室で真琴の帰りを待っていた五人は真琴が帰ってくるなり驚いていた。

「真琴、どうした?」
 
大輝が急いで息を切らしている真琴に近づいてきて心配そうに言った。
大輝の後に他の四人も続いて真琴に近づいてきて心配そうに真琴を見る。

「これ!この写真見て!!」

真琴は息を整えると五人の前にさっき見た写真を広げて続けて言った。

「凄くよくない?皆が楽しそうなのが伝わってこない??」
 
五人は一回写真に目を向けた後、真琴にまた目を向けた。

「もしかして、この写真を早く見せたくて走ってきたのか?」

竜也は真琴の目を見ながら聞いた。

「そうだよ。」

真琴がそう言うと、五人は、何だよ~!!と言って、笑い出し、茜が真琴の肩をバシッバシッと叩きながら言った。

「真琴が全速力で走って帰ってくるから、何かあったのかと思ったよ。」

「ごめん。」

真琴は皆の顔を見て謝った。

「まぁ、いいわ。何もなかったんだから。それより、本当にいい写真ね。」

香里は広げた写真から一枚手に取り、写真を見つめながら言った。
その後、他の四人も口々に写真を褒めていたが、奈々子が箱から出してきた写真を見て言った。

「ねぇ、でもこの写真。これは、そんな感じしない。」

奈々子の言葉に皆がその写真を見た。

その写真は授業風景の写真だった。
よく見ていくと、授業風景の写真は淡々としたどこにでもある写真で、行事ごとの写真は一人一人が生き生きとした写真だった。

「行事の写真って、担任が撮るんだっけ?」

茜が皆に聞いた。
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