最初で最後の恋文
職員室の前で大輝、竜也、香里、奈々子が真琴と茜を待っていた。
真琴と茜は四人に謝ると六人揃って職員室に入っていった。

「あぁ。行事のときの写真は全部佐伯が撮ったんだ。」

担任の坂下治はコーヒーを飲みながら淡々と答えた。

「だから、佐伯君はどの写真にも写っていなかったんですね?」

真琴は担任の言葉の後に続けて言った。

「あぁ。俺は写真撮るの下手だからな。佐伯にいつも頼んでいたんだよ。アイツ、行事とかに興味ないからよくサボるだろ?何か役割でも与えたら参加すると思ってな。」

担任はガハッガハッと笑いながら言い、その後、いい写真だろ?と言って六人を見渡した。

六人は職員室を出て、生徒会室に向かった。
その途中、五人に少し遅れながら真琴は考えていた。

「ねぇ!」

真琴の言葉に先を歩いていた五人が振り返った。

「佐伯君もアルバム作りに誘ってみない?」

真琴は五人の目を見渡しながら言った。
五人は真琴の言葉に一瞬固まり、また前を向いて歩き出した。
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