最初で最後の恋文

遥斗は真琴の言葉に即答で答えると、向きを変えて教室のドアまで歩き出した。
真琴は急いで遥斗の前まで回りこみ、大きく腕を広げて遥斗が教室から出ないようにした。

「何で嫌なの?もしかして、まだ受験終わってないの?」

遥斗は、あの時と同じダルそうなため息をつくと、真琴を見下ろして言った。

「別に。ただ、面倒臭そうなだけ。話したから、そこどいて!」
 
遥斗は真琴の肩に手を置くと、真琴を簡単に横にどかし、教室を出ていった。

「佐伯君の撮った写真、凄くよかった!!」
 
真琴は遥斗を追って廊下に出ると、遥斗の後ろ姿に向かって叫んだ。
すると、遥斗はゆっくりと振り返って真琴を見つめた。

「佐伯君が撮った写真、全部が生きてるって感じがしたの。クラスの皆が楽しそうに笑っていて、生き生きとしていて、初めて写真を見て興奮した!!何で興奮しているのか、わからないけど、興奮して、いつの間にか走っていて、誰かに見てもらいたくて…だから走って、全速力で走って、生徒会室まで全速力で走って…」
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