最初で最後の恋文
真琴はしゃべっているうちに頭の中が混乱し、自分が何を遥斗に伝えたいのかわからなくなっていた。
そして、真琴は混乱している自分が恥ずかしくなり、恐る恐る遥斗を見た。
すると、遥斗の肩が少し小刻みに震えていて、遥斗をよく見ると顔を隠しながら笑っていた。
 
真琴はそんな遥斗の笑っている顔を見つめていた。
今まで真琴の知っている限りの遥斗は無愛想な顔しかしたことがなくて笑っている顔なんて見たことがなかったからだ。その遥斗が真琴の目の前で笑っていて、遥斗の笑った顔は少し子供っぽく見えた。

遥斗は真琴が見ていることに気づくと、いつもの無愛想な顔に戻り、真琴に近づいていった。
真琴は遥斗が近づいてくるのに少し戸惑い、目をキョロキョロと動かした。

「お前、面白いな。」

遥斗はそれだけ言うと、真琴に背を向けて歩き出した。

「明日の放課後、ここで待っているから!佐伯君が来るまでここで待っているから!!」
 
真琴は遥斗の背中に呼びかけると、遥斗は振り返って

「何で?俺を誘うの?」

と真琴に聞いた。
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