最初で最後の恋文
「だから、言ったのよ!!佐伯遥斗を誘うのは無駄だって。」
 
次の日、昨日の放課後の出来事(遥斗が笑ったこと以外)を皆に話すと奈々子がお菓子を食べながら言った。

「でも、わかんないよ。もしかしたら。気が変わって参加してくれるかもしれないよ!!」
 
真琴は前向きに皆に言ったが、大輝がため息を吐きながら真琴の肩をポンッと叩いた後、次々に皆が呆れた顔をしてため息を吐いた。



「何で?佐伯遥斗にこだわるの??真琴、前まで佐伯遥斗のこと口に出さなかったじゃん??」
 
放課後、茜は教室で自分の荷物を鞄に入れながら、机の上に座っている真琴に話しかけた。

「思い出なんて欲しくないって。そう言った佐伯君の気持ちがわかんない。それに、やっぱり撮ったのは佐伯君だし、本人にも参加して欲しい。」

真琴は足をブラブラさせながら独り言のように呟いた。
茜は真琴のその姿を見ると、短いため息を吐いて、

「一緒に残ろうか?」

と言った。
真琴は茜の顔を見るとニコッと笑い首を横に振り、ピョンッと机から下りると茜に近づいて笑顔で言った。
< 18 / 62 >

この作品をシェア

pagetop