最初で最後の恋文
 真琴は遥斗の腕を掴み、

「お願い!!一緒に作ろうよ、アルバム!!佐伯君の写真もっと見たいの!まだ、校舎の写真とか帰り道とか…他にもいっぱい佐伯君に撮って欲しいところがあるの!!」
 
すがるように遥斗に言ったが、遥斗は真琴の手を払いのけると冷たい目と冷たい口調で言った。

「嫌だ。それに誰が撮っても変わんねぇよ。校舎の写真とか帰り道の写真とか。」

「そうかな?佐伯君が撮ったら違うと思う。佐伯君が撮った写真を振り返って見ると、この場所でこんなことがあったなぁとか、この道を走ったなぁとか、そんな思い出がハッキリと浮かんでくると思う。」
 
真琴は遥斗を真っ直ぐに見つめながら言った。

「お前、恥ずかしくねぇの?」
 
遥斗は目を細めて真琴に聞いた。
真琴は意味がわからなくて顔を傾けて遥斗を見た。

「そんな恥ずかしい言葉をよくも言えるなぁって思って。」

「恥ずかしい言葉かな?思ったことを言っただけなんだけど…。」
 
真琴は考えながら言った。

「普通は自分が思ったことでも、恥ずかしくて口にできないことが多いんだよ。お前、やっぱり面白いな。」
 
遥斗はそう言うと、真琴の横を通り過ぎ、ドアの前で立ち止まって真琴に振り返り、ぶっきらぼうに言った。

「撮るだけだからな。それ以外は何もしねぇからな。」

 真琴はその言葉を聞いて一気に顔を明るくし、教室を出ていった遥斗を追いかけた。

「ありがとう!!」
 
真琴は遥斗の隣までくると笑顔でお礼を言った、そんな真琴の顔を見て、遥斗は

「本当にお前って面白いな。」

と呆れた顔で呟いた。
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