最初で最後の恋文
生徒会室に遥斗を入れると、皆が驚いた顔をした。

「真琴、お前やるなぁ!!」

「さっすが、真琴!!」

と真琴の周りに皆が群がり、次々に真琴を褒めた。
その後、遥斗に皆が、来たな!とか、ヨロシク!!とか声をかけたが、相変わらず遥斗は無愛想な顔で

「写真、撮るだけだから。」

と冷たく言い放ち、さっきまでの雰囲気が一気に変化した。

「そうそう、佐伯君には校舎や帰り道の写真…まだまだ撮って欲しいって思う場所を撮ってもらおうと思って。」
 
真琴は静まった雰囲気を変えるように大きい声を出して皆に言った。
すると、香里がニコッと笑って、

「いいわね。佐伯君なら、いい写真撮ってくれるんじゃないの?」

と言って、真琴を見た後、遥斗を見た。

「じゃぁ、佐伯に撮ってもらいたい場所でも考えるか?そのほうが佐伯も撮りやすいしなっ!」
 
大樹の声で皆が次々に思い出のある場所を言い合った。
 
真琴は皆が次々に言う場所をメモに書き取って、窓の外をぼんやりと眺めている遥斗に渡した。
遥斗が真琴からメモを受け取ろうとしたとき、茜が

「真琴も行けば?佐伯一人じゃ大変でしょう?助手として佐伯についていきなよ!」

と言い、その言葉を聞いた遥斗はあからさまに嫌な顔を浮かべた。
 
そんな遥斗の顔などおかまいなしに、皆が茜に賛成をしたので、隣で嫌な顔をしている遥斗を気になりつつ、真琴は今までしていた作業を香里に引き継いでもらった。
 
最初は嫌がっていた遥斗だったが、時間が経つにつれて真琴が出してくる案がいいので、結構真琴が役に立っていることがわかった。
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