最初で最後の恋文
真琴と写真を撮り始めてから、二週間が過ぎた。
ちゃくちゃくとアルバム作りの作業が進んでいき、終盤が近づいていた。

「ねぇ、先生に頼んで屋上開けてもらえないかな?」
 
真琴は遥斗の横を歩きながら言った。
遥斗は真琴に、何で?と聞くと

「屋上から街を撮るのっていい案じゃない??ほら、卒業すると地元を離れる人っているでしょう?だから、街の写真とかもあるといいかな?と思って。」
 
真琴はそう言い、遥斗の前に一歩出ると、頼んでみようか?と言って遥斗を見上げた。

「無理だよ。頼んでも。」
 
遥斗は真琴に冷たく言い放つとスタスタと歩いていった。
真琴はその後ろ姿を見つめてため息が出た。
 
遥斗は振り返り、

「早く来い!」

と真琴に言うと、またスタスタと歩き出した。
真琴は口を尖らせながら渋々遥斗の後ろを追って歩いた。

「ねぇ、学食に行かないの?」
 
真琴は学食へ行く道とは反対の方向を歩いている遥斗に呼びかけた。
遥斗は真琴の声に振り返り、

「いいから、ついて来い!」

とだけ言うと、またスタスタ歩き出した。
真琴葉遥斗の後ろ姿を睨み、でも逆らえない小心者のため渋々ついていった。
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