最初で最後の恋文
「お~い!今からクラスのアルバム配るぞ!!」
 
担任が大きい声でダンボール箱からアルバムを出していった。
それを一人ずつ受け取っていく。受け取ったクラスメイトは真琴たちが作ったアルバムを開けて懐かしそうに騒いでた。

「ねぇ、真琴。この写真、誰が撮ったの??凄くイイねぇ。」

「何か、皆楽しそう!!これなんか、ねぇ。」
 
クラスメイトが口々に真琴に聞いた。
すると、隣の席から香里が言った。

「佐伯君よ。このアルバムに載っている写真は彼が撮ったの。」
 
クラスメイトは香里の言葉に目を丸くして驚いていた。
 
真琴は受け取ったアルバムを一枚一枚ゆっくり開けていった。
 
この真琴のアルバムには遥斗の写真は三枚しか載ってない。
一枚目はクラス写真。
二枚目は授業風景の写真。
そして、三枚目は屋上で真琴と二人で撮った写真だ。

アルバム作りの最後の日、遥斗が置いていった写真の中に屋上で真琴と遥斗の二人で撮った写真が一枚混ざっていたので、香里がこっそり真琴のアルバムにだけ載せた。

いや、本当は遥斗のアルバムに載せるちもりだったのだが、遥斗がアルバムを見ることはもうないので真琴のアルバムに載せたのだった。
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