最初で最後の恋文
クラスメイトがアルバムを見ながら騒いでいる中、真琴はさっき遥斗のお母さんから貰った手紙をポケットから取り出した。

「真琴、それっ…。」
 
真琴の手にある手紙を見て、茜は言いかけた言葉を引っ込めた。
 
すると、静かに真琴が口を開いた。

「佐伯君からの手紙…。佐伯君のお母さんから貰ったの。」
 
いつの間にか真琴の周りにはアルバム作りのメンバーが揃っていて、静かに真琴を見つめていた。

騒がしい中、ここだけが違う空間の中にいるみたいで―。
 
真琴は手にある遥斗からの手紙を見つめながら、さっき遥斗のお母さんが話してくれたことを五人に話し始めた。
それを五人はただ、ただ黙って聞いていた。

「佐伯君のお母さん、皆にありがとうって感謝してた。何年かぶりに遥斗の笑った顔が見れたって。佐伯君、笑ってたんだって。息引き取るまで笑ってたんだって…。」
 
真琴はそこまで言うと、手に力を入れた。
封筒には少し皺が入り、遥斗が書いた“宮崎真琴へ”の文字が少し寂しそうに見えた。
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