最初で最後の恋文
あの日、宮崎がアルバム作りに俺を誘った日、主治医にあと三ヶ月も生きられないって言われたんだ。
小さい頃から長く生きられないって言われ続けてきたけど、リアルに死への期間を言われるとへこむもんだな。

正直、宮崎のこと憎いと思った。
いつも笑っていて、楽しそうな宮崎を見ているとイライラして、殴りたいって思っていた。
だから、あの日も笑顔で話しかけてきた宮崎を見てイライラした。
最初はアルバム作りなんて参加する気ゼロだった。
でも、宮崎が俺の写真を見て『生きているって感じがする』って言ってくれたとき嬉しかった。
今までずっと死を待つだけのように生きていた俺に生きていると伝えてくれた気がした。
初めて俺も生きているんだって思えた。
俺はきっと宮崎があのとき誘ってくれなかったら、全てのものを恨んだまま死んだかもしれない。

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