緑の君~白い影~Ⅱ
それが今さゆりを苦しめている。
さゆりの瞼が動く。
「さゆり!」
「助けて…。」
もがけば…。蔦が這っていく。
次第に蔦が絡まり拘束が強くなる。
金の瞳が月の剣で斬りかかる。
ボタボタ…。
体液が落ちる。
目が霞む。
自分には選べない。
「助けて…。アキラ…。」
ピクリと動いた。
「お前…。さゆりじゃないな…。」
全力で蔦を切り裂いた。さゆりは…。アキラと呼ばない…。
さゆりの姿が消えていく。
そこには人形と髪の毛があった。
「げほっ…。」
体液が思った以上に出てしまったようだ。
「トラップに引っ掛かるなんて…。僕もまだまだだな。」
苦笑しながらよろめき、立ち上がる。金色の瞳はいつの間にかいない。
トラップにかけるつもりが逆に…。
「蛟の幻影か…。」
幻惑に自らはまったようだ。
藤棚は荒れていた。さゆりが見たら悲しむだろう。
さゆりは何処に…。
その時、
薄紫の花びらが舞い上がる。
人形の回りに紫の花びらが集まっていく。
『あっち…。早く…。』
「お前…。」
『助けて…。』
緑の疾風は風に舞う花びらを追っていく。
さゆりの元へ。
学園の屋上から再び…。
「くそっ!」
鋭い五感が捉えたのは…。
禍々しい空気。
方角は…。
坂木神社。
直ぐ側にいたのに自ら離れた。
緑の疾風は更に速度を上げる。
体液が落ちる。命の水が落ちるのも…。
構わず飛び上がる。
人混みを避けて走る。
さゆり…。さゆり…。さゆり…。
離れたことを後悔した…。
さゆりの瞼が動く。
「さゆり!」
「助けて…。」
もがけば…。蔦が這っていく。
次第に蔦が絡まり拘束が強くなる。
金の瞳が月の剣で斬りかかる。
ボタボタ…。
体液が落ちる。
目が霞む。
自分には選べない。
「助けて…。アキラ…。」
ピクリと動いた。
「お前…。さゆりじゃないな…。」
全力で蔦を切り裂いた。さゆりは…。アキラと呼ばない…。
さゆりの姿が消えていく。
そこには人形と髪の毛があった。
「げほっ…。」
体液が思った以上に出てしまったようだ。
「トラップに引っ掛かるなんて…。僕もまだまだだな。」
苦笑しながらよろめき、立ち上がる。金色の瞳はいつの間にかいない。
トラップにかけるつもりが逆に…。
「蛟の幻影か…。」
幻惑に自らはまったようだ。
藤棚は荒れていた。さゆりが見たら悲しむだろう。
さゆりは何処に…。
その時、
薄紫の花びらが舞い上がる。
人形の回りに紫の花びらが集まっていく。
『あっち…。早く…。』
「お前…。」
『助けて…。』
緑の疾風は風に舞う花びらを追っていく。
さゆりの元へ。
学園の屋上から再び…。
「くそっ!」
鋭い五感が捉えたのは…。
禍々しい空気。
方角は…。
坂木神社。
直ぐ側にいたのに自ら離れた。
緑の疾風は更に速度を上げる。
体液が落ちる。命の水が落ちるのも…。
構わず飛び上がる。
人混みを避けて走る。
さゆり…。さゆり…。さゆり…。
離れたことを後悔した…。