緑の君~白い影~Ⅱ
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「さゆり…。さゆり!」





驚いて目が覚めた…。






「こんなところで寝ないで!ほら!試合始まってるよ!」





黄色い歓声が聞こえた。





藤棚を通り過ぎ、弓道場にたどり着く。





レン君…。





キリリと弓がしなる…。
引き締まった筋肉に顔立ちがカッコイイ…。






バン!






的の真ん中に見事に刺さった。






黄色い悲鳴…。






あぁ…。眩しい。






バン!






またもや黄色い悲鳴…。





「あの人もカッコイイ…。あれ誰?」






「桜田君だよ。」





「桜田君…。」





「やだな!同じクラスじゃない!」





同じクラス?そうだっけ?





「緑の君相変わらずカッコイイ…。」






「緑の君?」






「髪が綺麗だから緑の君!やだな!有名じゃない!私のノートにはもはや常識…。さゆりの…。」





「まり…。わかったから…。」





まりはほっといて…。
試合を見ていた。






どっちもカッコイイ…。私と関係ない日向の人達。




レン君がこっちを見てる…。
気のせい?






藤の花びらがひらひら顔に落ちる。
藤の香りが辺りに拡がる。
いい香り…。
暑いな…。





んっ?暑い?






「まり…。今何月だっけ?」





「やだな!真夏に決まってるでしょが!」






真夏…。藤は…。





「どうしたの?」





バン!





桜田君の矢が的に当たる。





緑の君…。





ドキッ!






こっちを見ていた。





緑の君…。






なんか…。頭痛いな。夏バテかな…。





藤棚から花びらが大量に降り注ぐ。前が見えないくらいに。





なんか…。気持ち悪い。体も痛いし…。






レン君…。





レン君…。






助けて…。






「そう、僕だけを見て。」





レン君…。





黄色い二つの光が見えた。





藤の香り…。






「スーリア…。僕だけを見て。」






瞼が痙攣していた。





「夢では抗えないよ。」





藤棚でレン君と…。
結ばれた…。






この胸の痛みはなんだろう…。





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