緑の君~白い影~Ⅱ
バサバサと何か音が響いた。





また夢の中?
灯籠に影が写る。
「早かったね。アキラ…。」




「さゆりを放せ…。」





「君がそれを言う?」





「…。」





玉がレンに跳んでくる。





それを切り落とした白い服のレンはつまらないように肩を落とす。





「満身創痍だな。アキラ…。」





「うるさい!」






「終りだ…。」
緑の君の上に刃が下ろされる。





「止めてぇ!」






叫び声と同時に数珠が光を放ちレンが崩れ落ちた。





藤のまやかしが消えていく。





「スーリア…。」





手を伸ばしたレンが刃を向けた。





バサバサと音が響いた。





そして、何かが弾ける音。




レンが刃には赤い羽根がついている。





「お前が…。元凶か。」





さゆりの目には大きな赤い輝きの鳥がいた。
恐ろしく牙のある鳥が…。




「それを寄越せ…。」
低い声がした。





「巫女は渡さない。」






飛び上がろうとした鳥の動きが急に鈍くなる。





「緑の君!」





鳥の上に乗りながら糸を駆使して動きを鈍らせる。




レンが止めを刺す。





「愚かなり…。」
鳥の囁きの後、二人は吹き飛ばされ地面に打ち付けられた。





土埃の中に白い影に二つの光…。





声が出なかった。





白い大きな蛇と赤い鳥が噛み付きながら襲いかかる。





我に帰り緑の君に駆け寄る。





「しっかりして!」






よく見れば血だらけだった。
ぼろぼろになりながら来てくれたんだね。





石の破片を手首に押し付けた。





「っ…。」





自分に出来ることなんて限られてる。





緑の髪を避けて赤い血を口に押し付けた。





どくん!と身体が大きくはね上がって手首を強く握りしめていく。





怖い。






でもこれが…。






「緑の君…。そばにいてくれなきゃ…。嫌だよ…。」





ピチャピチャ…。





舐めていく瞳が色を取り戻す。





「さ…。ゆり…。」






恐ろしいものでも見るように瞳に私を写す。






「よかった。」






「こんなこと…。望まない。どんなに危険なことをしたかわかってない。」





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