緑の君~白い影~Ⅱ
そのまま抱きしめられていた。
「離れた俺が悪かった。」





「そばにいてね。何があっても…。」





地響きが聞こえ白い蛇が倒れていた。





鳥は目玉を潰そうと鋭いくちばしで狙う。





緑の君が飛び出す。糸が月でキラキラと煌めく。




鳥の動きが止まっていた。




灯籠が鳥に当たる。





白い蛇がすかさず鳥を締め上げていく。





「おのれ…。」






バキッと嫌な音が響いた。





鳥が此方を向いた…。






風が吹き荒れ砂利がはね上がっていく。蛇と揉み合いながら…。





鋭い歯が見えた。
何かが光って…。あれは…。





妖しく光が飛んで来た。




思わずギュッと目を瞑る。





白い影に光が遮られた。





白い身体が前にある。
「レン君!」





数珠が光を帯びる。
触ると火傷が消えていく。
そして…。
光の柱が立ち上がる。






轟音が聞こえ地震が起きる。





「なっ…。」






別の巨大な蛇がそこにいた。鎌首をもたげて…。




蛇ににらまれたカエルのように動けない。





黒光する蛇に瞳はアメジストのような紫…。






「我の道をはばかるモノは誰そ?」





その一言に答えられる訳もなく…。数珠が光を放ち続けているのを見るしか出来ず…。





バサバサ!





赤い鳥が羽ばたいた。





鎌首が角度を変えて振り返る。





「穢れが…。」






地震は終わらない。






黒光を放つ蛇に鳥は丸飲みされる。





あぁ…。
終わった…。あれは何?




次は自分…。






でも動きを止めて蛇は何かを吐き出した。





「我の穢れを祓え…。」




鎌首が私の前に来た。






数珠が光を放ち続けている。
頭に触れる。
ひんやりとしていた。





光が小さくなると…。
蛇は地面に消えていく。





ずずずずず…。






何かを引きずる音が響いて…。光は完全に消えてしまった。





鳥居に立ち上がる人影…。





「天使?夢と同じ…。」





でも天使なんていうものじゃなかった。
赤い翼に牙のある…。






「おのれ…。おのれ…。おのれ…。おのれぇぇぇ!」





此方に来る!






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