緑の君~白い影~Ⅱ
紅鳥籠
寒い…。ここは何処?
「ここは夢の中…。巫女様、早く起きて…。」
女の子?
とても綺麗な日本人形のように…。
でも瞳は…。綺麗な紫。
「貴方は…?」
にっこりと微笑んだ少女。
「いつも貴女を見ていました…。私のことを気にかけてくれてありがとう、さゆり様。」
さわさわと音が響いた。
女の子の髪が伸びる。
紫の花びらが舞う…。
「藤の?」
「私は…。藤に宿りし精霊。かの地は選ばれた…。」
「学園のこと?」
「早く起きてさゆり様。」
「貴女は?」
「私の名はない…。私は…藤乃…。フジノ…。あなた様に貰った…。」
それきり消えてしまった。
「早く起きて…。ここはいけない…。ここは…。」
此処は…。何処?
赤い翼の天使。
天使にはあらず、赤い翼の妖し。
敷き詰められた赤い羽根に埋もれて眠るは巫女…。
「漏れ出る力は私の全てを満たす。クックッ…。」
夢…。それは悪夢。
魂は捕らわれた。赤い鳥籠の中で眠る。
藤の花びらが唯一の希望。
それを白い影と緑の煌めきが追っていた。
******
「スーリア…。太陽の血を受け継いた月の巫女…。」
森を駆け抜けながら聞いた。
「さゆりは…。」
「その内…。目覚める。」
そう…。いつか俺には届かなくなる。
だとしても…。今はまだ…。
「それでも助ける…。」
「ふっ…。健気だねアキラ…。」
藤の香りを追って行く。
さゆり…。さゆり…。さゆり…。
何処にいる?!
緑の君!
藤の花びらが見えた。
見えたのは仄暗い祠。
「山神か?」
「そんな大層な奴じゃない。アキラ…。」
結界を破壊した。
「さゆり!」
何に変えても…。君を守ると…。誓ったんだ。
結界の破壊は赤い翼の妖しに侵入を気づかせた。
「迷宮に入ったか?」
赤い羽根が舞い散る。
その手に白く細い体を抱えて。
「ここは夢の中…。巫女様、早く起きて…。」
女の子?
とても綺麗な日本人形のように…。
でも瞳は…。綺麗な紫。
「貴方は…?」
にっこりと微笑んだ少女。
「いつも貴女を見ていました…。私のことを気にかけてくれてありがとう、さゆり様。」
さわさわと音が響いた。
女の子の髪が伸びる。
紫の花びらが舞う…。
「藤の?」
「私は…。藤に宿りし精霊。かの地は選ばれた…。」
「学園のこと?」
「早く起きてさゆり様。」
「貴女は?」
「私の名はない…。私は…藤乃…。フジノ…。あなた様に貰った…。」
それきり消えてしまった。
「早く起きて…。ここはいけない…。ここは…。」
此処は…。何処?
赤い翼の天使。
天使にはあらず、赤い翼の妖し。
敷き詰められた赤い羽根に埋もれて眠るは巫女…。
「漏れ出る力は私の全てを満たす。クックッ…。」
夢…。それは悪夢。
魂は捕らわれた。赤い鳥籠の中で眠る。
藤の花びらが唯一の希望。
それを白い影と緑の煌めきが追っていた。
******
「スーリア…。太陽の血を受け継いた月の巫女…。」
森を駆け抜けながら聞いた。
「さゆりは…。」
「その内…。目覚める。」
そう…。いつか俺には届かなくなる。
だとしても…。今はまだ…。
「それでも助ける…。」
「ふっ…。健気だねアキラ…。」
藤の香りを追って行く。
さゆり…。さゆり…。さゆり…。
何処にいる?!
緑の君!
藤の花びらが見えた。
見えたのは仄暗い祠。
「山神か?」
「そんな大層な奴じゃない。アキラ…。」
結界を破壊した。
「さゆり!」
何に変えても…。君を守ると…。誓ったんだ。
結界の破壊は赤い翼の妖しに侵入を気づかせた。
「迷宮に入ったか?」
赤い羽根が舞い散る。
その手に白く細い体を抱えて。