緑の君~白い影~Ⅱ

夢のあと

帰宅したのはいつだったのか知らないで寝ていた。





声に飛び起きる。
「さゆりはおるかー!」




もはや条件反射…。
「はいはいはい!」





急いで行くと山姥…。失敬お婆ちゃんがお土産を開けていた。





がさり…。
「温泉まんじゅうね…。」





定番だなぁ。






「ところでさゆりよ。祭りはどうだった?」





ぎくり。






「えっ?えーと…。いろいろあって、かなこにバイト代とかで…。そのぅ…。」





ダッシュで逃げる。






「こらぁ!待たんかさゆり!修行に行くことにし…。」





さゆりの姿はなかった。
「最近逃げ足が早いの…。」





事件もあったせいか思ったより祭りの儲けはなかった。





逃げた先は御神木。






「クスクスクス…。」






「緑の君!」






「さゆりも大変だな。」





何処かで見てたのね。
ぷくりとほっぺが大きくなる。





「怒った?」






「怒ってない。」






「ふーん。」






ぽすりと頭に手を置かれ撫でられた。





そのまま口づけが落ちる。





帰ったら座禅かな…。
でも今はこのままで…。





御神木の回りに暖かい風が吹き抜ける。





ざわざわと葉がなる。






これから始まる何かを知っているかのように。






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