緑の君~白い影~Ⅱ
「次はかなこ…。てか寝てるし!」





おへそ出してるし…。





「クスクス…。」




「さゆりさぁ、言いたいことあるならちゃんと伝えないとわからないこともあるよ…。」





「まり…。」





「さゆりは優しいから…。」





「ありがとう…。」





優しいのはまりだよ…。





アロマキャンドルの火が揺れる。





「しょうがないお開きね。」
ふっ…。火を消す。






びちゃっ…。
ピチョ…。ピチョ…。






水の音?また夢見て?





バサバサ!




「ミツケタ…。ミツケタ…。」





何を?





ズズン…。
ずりずりずり…。




何を引きずる音が響き渡る。
赤と黒の…。何が…。





「我が道憚るものよ…。」




バサバサ!





鳥?





赤い鳥居の上から…。天使…。





「さゆり!」





目の前には月に何故か…。
「砂利?」





後ろにひっくり返った。
「キャー!」





布団に倒れ込む。





「さゆり!」





「私?」





「窓から飛び降りそうになったよ!」





「夢見てた…。」






その夜から夢見が悪い。
羽ばたきに何かを引きずる音が頭から離れない。





「食欲ないなぁ…。」
美味しそうな朝食なのに…。





「夏バテかしらね?今夜はうなぎにしようかしら。」





「行って来ます…。」





歩いていたけど暑い…。バスにすればよかった。




近道に裏庭から入る。ハウスは暑い…。
近くの向日葵畑を通り過ぎ…。




花の様子を確認して、ベンチをめざす。
日陰がやっぱし落ち着く…。





「私はやっぱり日陰がいいや…。」





ざわざわ…。





気配がする。何かはわからない。
思わず数珠を握りしめた…。





朝早くは誰もいない。





誰か見ているような気がする…。





違うと思ったのに…。きっと期待したの。





「緑の君?」






「?」





青い光沢の黒髪…。
「サカキさん…。」





「ごめんなさい…。人違い。」





「花…。気に入った?」





「ありがとう…。私花が好きなの。ごめんなさい…。まだ名前を…。」






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