とある真夏の物語【完】
『こちらこそ』
私もリーンに頭を下げながら、にっこりと微笑んだ。
その瞬間、リーンは驚いたように目を見開く姿が目に入る。
…私、なんか変なことしたかな?
そう思い、首をかしげる私に、サカキさんは、
『では、まなつさん、私はこれで。また後で、迎えに参ります。リーン、後は、頼んだぞ』
『かしこまりました、サカキ様』
それだけ言い残し、足早に部屋を後にしたのだった。
『あ、あの…では、準備を致しますので…』
『あ、うん、お願いします』
私は、そう言って、リーンを見つめた。
リーンは、また驚いたような表情を浮かべていたが、さっき、サカキさんから渡されたドレスを着るように私に促す。
私は、言われた通り、ドレスに袖を通してみるが…
『やっぱり…似合わない』
『そんなことないです!すごくお似合いですよ!?』
リーンは、そう言って微笑んだ。