とある真夏の物語【完】
そう言ってリーンちゃんはにっこりと微笑んでくれた。
『ありがとう…』
ちょっと照れ臭く、はにかみながら答える私。
その時
バンッ
『まなつ!支度できたか?』
部屋の中にカイの声が響く。
『カ、カイ?』
『カ、カイ様、ただいま、まなつ様の支度が整いました、では私はこれで失礼いたします』
リーンは恭しくカイにそう言って部屋を出ていってしまった。
『リーン、またね』
私は、軽くリーンに手を振りながらそう言ったが、リーンはペコッと頭を下げただけで部屋を出ていく。
『まなつ…オレのこと忘れてないか?』
部屋の壁にもたれながら少し不貞腐れた様子のカイ。
『そ、そんなことないって、あはは』
…ちょっと忘れてたかも
私は苦笑いを浮かべた。