とある真夏の物語【完】
『…それにしても…真夏さまは何で急に飛び出したのですか?』
シュカさんとの感動の再開も終わり、神殿の近くのテラスで私とリュウ、それにカイが集まっていた。
『…声が…』
『声?』
首をひねるカイ。
私はちらりとリュウを見た。
リュウは何か考え込むような表情を浮かべている。
『…リュウ…シュカさんたちに話したらダメかな?』
『シュカはいいとしても…』
カイを無言で見つめるリュウはまだ敵対心を持っているらしい。
『大丈夫、カイは誰かにペラペラ喋るような人じゃないよ、まだ会って間もないけど…それくらい私にもわかる』
『…わかった』
しぶしぶ承諾したリュウにお礼を言うと、私は2人に事情を説明しだす。
私がどこから来たのか。
そして、消えてしまった祥についても…。
シュカさんもカイも真剣な表情で私の話に耳を傾けてくれた。
――――
『と、いうわけなの…』
全てを話終わった私。
シュカさんは驚いたような表情を浮かべ、カイは眉間にしわを寄せたまま考えこんでいる。
『…つまり、真夏さまはこの世界の人間ではなく、違う世界の人間だと…』
『うん…』
『なぁ、まなつ、1つ質問。その祥ってヤツは、どんなやつだ?』
急に考え込むのをやめたカイにそう聞かれる私。