とある真夏の物語【完】
『…少し前の話だ。オレの国に妙な噂がでまわった』
『妙な噂?』
あぁ、と呟くカイは些か表情を曇らせる。
『黒髪の男を見た者には、災いが起きる…と』
『災い…?』
なんだか妙な胸騒ぎを感じた。
『どういうことだ?』
リュウも険しい表情でカイを見つめる。
リュウの茶色の瞳が一瞬、黒色に見えた気がした。
『噂だからなんとも言えないんだ…誰が流したのかもわからない、真夏、その祥とかいうのは、今だとどれくらいの年なんだ?』
『私と同い年だよ…さすがに、5年も前だから…背はかなり伸びてるだろうし…今、見てわかるかは、ちょっと不安』