とある真夏の物語【完】
*黒髪の男
*黒髪の男
――――舞踏会の日から2週間が過ぎた。
…あの後、私は、シュカさんに言われた通り舞踏会を楽しんだ。
料理もおいしかったし、ダンスもすごく楽しかった。
あの時だけは不安や辛さを紛らわすことができたのに…。
私は、そう思いながらも、はぁ…と、深いため息をついた。
私がこの国を訪れてもうすぐ1ヶ月が過ぎようとしている。
けど、あの舞踏会の後から祥ちゃんに関する情報は一切掴むことができないでいた。
…もちろん、カイが言っていた黒髪の男についても…。
ふと、私は、舞踏会の帰りぎわに、カイも私が元の世界に帰れるように協力すると言ってくれたことを思い出した。
祥ちゃんのことも調べてくれるらしい。
みんな…ありがとう。
私は、心の中でそっとお礼を言ったのだった。