とある真夏の物語【完】
*失われた記憶
*失われた記憶
―――
『……ちゃん、助けて…』
…真夏?
ガバッ
そんな真夏の声が聞こえたような気がして飛び起きたオレ。
『…夢か?』
時計を見ると、そろそろ昼時。
結構寝てしまっていたようだ。
オレは、ハァ…と、ため息をこぼすと、そそくさと立ち上がり、服を着替えた。
最近、毎日のようにあの夢を見る。
悲しそうな表情でオレに助けを求める真夏…。
でも、真夏は、オレのことを違う名前で呼んでいるみたいだ。
『…っ、何て言ってるんだ…真夏…』
夢の中、なぜか、呼ばれている名前だけが聞き取れないんだ。