とある真夏の物語【完】
『なんだよ〜元気ないな〜』
ケラケラと、笑いながら私の肩を叩く冬樹くん。
正直…背中が痛い。
『…ちょっとね……いろいろあって…』
私もアハハと軽く笑いながら冬樹くんに声をかける。
『なんだよ?悩みなら聞くぜ?』
『……いや…ちょっとね…』
一瞬、ほんの一瞬だけ話してしまいたいという衝動に駆られた。
そういえば、あの頃は、冬樹くんともよく一緒に遊んだっけ?
懐かしい記憶が浮かぶ。
だから…たぶん、魔が差したんだ。
『…ねー、冬樹くんは、祥ちゃんのこと覚えてる…?』