とある真夏の物語【完】
そう聞いた瞬間、ピタリと冬樹くんの体が固まった。
でも、それはほんの一瞬のことで。
『……もしかして…真夏は、まだ祥のことで自分を攻めてるのか?』
『……』
黙り込む私に冬樹くんは、ふーっとため息をつく。
『あのさ…お前…祥がいなくなってから一度でも陽子さんに会ったか??』
ピタリ
今度は、私が固まる番だった。
『…その様子だと行ってないわけね…よし!今から行くぞ…ついてこい』
『え…』
私がそう呟いた次の瞬間には、冬樹くんに腕をひっぱられていた。
『ちょ…ちょっと…待って!』
『いいから、行くぞ!』
私の意思なんか冬樹くんはちっとも聞いてくれなくて。
冬樹くんによって…私は、あれよあれよという間に、玄関から外に連れ出されていた。