とある真夏の物語【完】
昔の思い出が走馬灯のように流れてくる。
そんな楽しかった思い出に私は、軽く顔をほころばせた。
『ほら、覚悟決めなよ、もうすぐ着くからさ』
『…うん』
冬樹くんの言うとおりだ。
今まで会いに行かなかったのは、陽子さんが祥ちゃんを思い出して辛いだろうから…なんて、理由をつけてきたけど…。
結局のところ、私が傷つきたくなかっただけなんだ。
祥ちゃんがいなくなってしまったという現実から…。