とある真夏の物語【完】
数秒遅れて聞こえてきた声に私は顔をあげた。
『やっぱり…真夏ちゃん…真夏ちゃんだわ…会いたかった!』
ギュッと両腕で私を優しく包みこむ陽子おばさん。
『陽子おばさん…』
おばさんの瞳からは涙があふれていた。
『…っ…今まで…会いにこなくて…ごめんなさい…』
『いいの…いいのよ…一番辛かったのは真夏ちゃんだもの…私は、ただ真夏ちゃんが自分のせいにしてるんじゃないかってことが気がかりだったのよ…』
おばさんの言葉で私の頬を涙がつたったのがわかった。
そうか…私…許されたかったんだ…陽子おばさんから…。
『ほら、久しぶりなんだから、顔をよく見せて?まぁ…本当にキレイになって…』
陽子おばさんは、にっこりと微笑みながらそう言った。