とある真夏の物語【完】


ピタリ



足音がやみ、私は、足音のするほうを見る。





『…誰だ?』




少し、低い声。どうやら、男の人のようだ。




『あ、あの…私、穴に落ちて…えっと…出口どこか教えてほしいんですけど…』




『…穴?』




訝しげな、男の人の声が洞窟内に響いた。






『…お前は、どこの国のものだ?』





くに…?





『…え?…日本に決まってるじゃないですか…』



私は、呆れたような口調でそう答えた。




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