とある真夏の物語【完】
シュカさんは、急に黙り込んでしまった。
不思議に思った私がシュカさんに聞き返そうと口を開いた時、
『…すみません…やっぱり何でもないんです!』
さっきまでの辛そうな顔から一変、満面の笑みを浮かべながらシュカさんはそう言い放つ。
…シュカさん…?
『さぁ、真夏さま、着きましたよ。この部屋です!』
『あ、ありがとうございます』
そう言って、ペコリと頭を下げた私をシュカさんは、優しい顔で見つめていた。
『真夏さま…リュウ様を…よろしくお願いしますね…』
『…え?』
私が顔を上げる前に…
『では、昼食の時間になりましたら呼びに参ります』
シュカさんは、足早に部屋を後にした。