とある真夏の物語【完】
あの時聞こえた祥ちゃんらしき声を思い出しながら…私は呟いた。
『…祥ちゃん…もしかして、祥ちゃんもこの世界にいるの…だから…私を呼んだの?』
そう呟いた途端、涙が一筋…頬をつたうのを感じた。
その時、
コンコン、コンコン
私の部屋のドアを叩く音が響いた。
…シュカさん…かな…?
私は、そう思い、確認もせずに…そのドアを開ける。
『…シュカさん…?』
しかし、扉の前に立っていたのは……知らない男の子だった。
歳は、私と同い年か少し下くらいだろうか?
かわいらしい笑みを浮かべながら私をじっと見つめていた。
『…だ、誰…?』
『こんにちは、あなたがリュウのお気に入りさん?』
…リュウのお気に入り…?
私が城に来たのはつい数時間前の話。
なんで…この子…私のこと知ってるんだろう…?