とある真夏の物語【完】
養子…
私はぐっと息を飲んだ。
『なんで…真夏ちゃんが辛そうな顔してんの?そーゆーの……はっきり言って…迷惑だから』
そう言ってユウは、ニコッとかわいいく微笑む。
けど…私には、本当に心の底から笑っていないように見えた。
『……』
しばらく沈黙を保っていた私にユウは、
『ふ〜ん?てか、真夏ちゃん、もしかして、リュウに取り入ろうとしてこの城に来たの?最近、そういう輩が多いんだよね〜』
冷たい目で私を睨み付ける。
『…!?そんなんじゃない!私は…ただ…』
『ただ…なんなわけ?』
さすがに、違う世界から来ましたなんて…ユウに言えるはずもない。言ったとしても信じてくれないだろう。
『……私は…ただ…道に迷ってる所を救けてもらっただけ…』
私は、そう言って、ユウを見据えた。
嘘は、言っていないんだから!