とある真夏の物語【完】
私は、驚いて目を見張った。
『ふ〜ん?王子様のお出ましって感じ?…』
階段の上の方で、クスクスと笑みを浮かべるユウ。
そんなユウを横目で睨みながら、リュウは、
『…ユウ…次はないからな…』
一言そう言い放った。
ゾクッ
今までに感じたことがないくらい冷たいリュウの声が響く。
『はいはい、リュウのお気に入りを盗る気はないから、心配しないでよ…ただ、ボクは、そいつの考えていることが知りたかっただけだから』
そう言って、ユウは私を睨んだ。