とある真夏の物語【完】
*偽りの王子
*偽りの王子
『……』
『……』
私もリュウも何も言わずにただ廊下に立ち尽くしていた。
気まずい空気がながれ始めた……その時、
『…あっ、リュウ様、探しましたよ!』
パタパタとシュカさんが廊下を駆けて来た。
『…シュカ』
リュウが少し驚いたように目を見張る姿が見えた。
シュカさん、ナイスタイミング!
やっと、あの非常に気まずい空気から抜け出すことができた私は、心の中でシュカさんにガッツポーズ。
『…はぁ、はぁ、真夏さまもご一緒だったんですね、食事の用意ができました、どうぞ、大広間へ』
少し息が荒いシュカさんがそう言って、にっこりと私に微笑みかけた。
『わかった…悪かったな、走らせて』
『いえ、大丈夫でございます、では、こちらへ』
シュカさんは、私に手招きをしながら長い廊下を進んでいった。