とある真夏の物語【完】


――――



『うわぁ、おいしそう』



『恐れ入ります』




さっきまでのビミョーな空気から一変、楽しい雰囲気に包まれた大広間で、私とリュウは、昼食を楽しんでいた。



コック長らしき人が逐一料理の説明をしてくれる。




それにしても…本当においしい。



リュウは、いつもこんなおいしいものを食べているのか?




正直、うらやましくてしかたがない。






ようやく、お腹も一杯になり、私がフォークを皿の上に置いて手を合わせた。




『ごちそうさまでした』




そう言って、ちらりとリュウを見る私。




リュウは、そんな私の視線に気付かないのかもくもくとご飯を食べ続けている。






『…あっ…シュカ、いい忘れてたけど…これからしばらく真夏をこの城に置くことにしたから、みんなにも言っといて』





え…?このタイミングで言うの?



呆気にとられたのは、どうやら私だけではなかったらしく、リュウから話を聞いたシュカさんでさえ、ポカンとした表情を浮かべていた。





しかし…次の瞬間には……





『まぁ、まぁ…それは、素晴らしいです!他の使用人たちには、このシュカがきちんと話をつけておきますね!』




何故かキラキラの笑みを浮かべたシュカさん。



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