とある真夏の物語【完】
私は、リュウの言葉に目が点になる。
…仮の恋人……!!?
『いや、いや、む、無理でしょ』
慌てすぎて少し吃ってしまう。
そんな私が面白いのか、いまだにクスクス笑っているリュウ。
『大丈夫、大丈夫。だって、何で見ず知らずの真夏をオレの城に留めておく理由が他にあんだよ、周りの奴らにはそう思わせておいたほうが楽。それに………本当のこと言って信じてもらえると思ってんのか?』
真っ直ぐな目を向けてリュウは、私を見ている。
『…そうだね』
確かにリュウの言うとおり。
信じてくれる人なんて、そうそういないだろう。