とある真夏の物語【完】
リュウは、神殿をちらりと見ただけでなぜかすぐに目を逸らしてしまった。
…リュウ…?
そんなリュウを不思議に思い、口を開こうとした瞬間
『ま、真夏さま!!ルーン神のお話聞きたくないですか!?』
なぜか、リュウの隣に座っていたシュカさんが慌てたような声をあげた。
『…え?ルーン神のお話ですか?』
きょとんとする私に対し、にっこり笑顔でシュカさんは頷いた。
『はい、この風の国が出来たばかりの頃の話なんです!』
そう言って、シュカさんはこの国に伝わる昔話をし始める。
―――――
『今から、約5百年ほど前、この地は、まだ荒れ地が広がり、とても人が住めるような場所ではありませんでした…』