とある真夏の物語【完】
『そうですね…』
そう言って曖昧な笑みを浮かべるシュカさん。
『ルーンもユシスも…マカのことが大好きなだけなんですよね……ただ…間違った方向にすすんでしまった…』
私は、そこまで呟くと顔を伏せた。
なぜだかわからないけど…この話を聞いている間…ずっと胸がキューッと痛む。
その時、
『ま…なつ…』
!!!
『祥ちゃん…?』
私がこの世界に来るきっかけとなった…あの声が聞こえてきた。
『っ!!シュカさん!!すみません!止めてください!!!』
いてもたってもいられなくなった私は、気が付くとシュカさんに向かってそう叫んでいた。
『え…?で、ですが…』
少しおろおろしたような表情のシュカさんの姿が目に入る。
『お願いします!!』
私がそう言った時、馬車が急に止まった。