とある真夏の物語【完】
『…あの…み、道に迷ってしまって…』
しどろもどろで話す私。
だって、あの男の子が私の顔を覗き込むように見てくるから…
緋色の綺麗な目に吸い込まれそうになる。
『あ、あの…ち、近いです』
思わず顔を背けながらそう言った私。
『あ、ゴメン、ゴメン。つい。で、君は、道に迷っちゃったんだ?』
全く悪びれた様子もなく、シレッとした表情だ。
『ま、まぁ…』
何だかイマイチ読めない。
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