とある真夏の物語【完】
『さて、自己紹介も終わったし…まなつを送り届けてあげようかな?どこに行きたいの?』
カイのその言葉に私は思わず、笑みを浮かべる。
『あ、ありがとう…助かるよ!』
よかったぁ…これで…帰れそう。
『いいよ、で、どこに行きたいの?』
その瞬間、私は笑みを浮かべながら固まった。
…そういえば…リュウって…どこに行くつもりだったんだろう…シュカさんは、私にルーンの町を案内してくれるらしいとしか言ってなかったし…具体的にどこに行くかなんて…私…知らないんですが…。
だらだらと冷や汗が流れてきた。
そんな私を不思議そうな目で見つめるカイ。
『あ、あの…実は、知り合いと一緒に来たんだけど…私、この町はじめてで…その知り合いに案内してもらうつもりだったの…だから…そのぉ…』
『その知り合いがどこに行くつもりだったかわからないってコト?』
…おっしゃる通りで…。
私は、コクリと頷いた。