とある真夏の物語【完】
*迷いの森
*迷いの森
私は、ため息をつきながら車に乗り込んだ。
未だにワクワクしている妹の千夏は、満面の笑みで私を見つめる。
『お姉ちゃん!楽しみだね?』
『そうだね…』
私は千夏に軽く微笑み返した。
千夏は、あの時、まだ幼稚園生だったから、祥ちゃんのことを覚えていないんだろう。
私もどれだけ、祥ちゃんのことを忘れたいと思ったか…。
でも、どうしても忘れられなかったんだ。
『真夏!千夏!じゃあ、出発するわよ?』
『了解』
『は〜い』
そして、私たちを乗せた車は、おばちゃんの家に向かって出発した。