とある真夏の物語【完】
*カイの正体
*カイの正体
私はカイに連れられて、どんどん道を進んでいく。
しばらくすると、さっきまでの通りとは、違って人通りが多い大きな道に出た。
『あ…いい忘れてたけど…これからいろいろと驚くことがあるかもだけど、あんまり驚かないようにな』
そう言ってニヤリとどこか不適な笑みを浮かべるカイ。
そんなカイに私は首をかしげつつ、着いていく。
…何に驚かないようするのよ?
――――
『着いた、ここ』
カイは、そう言うと平然とした顔つきでスタスタとその建物の中に足を踏み入れていった。
私はと言うと、口をあんぐりあけたまま固まっている。
だって……今、私はあの馬車から見た神殿の前に立っているのだ。
近くで見ると凄い迫力。
私は、パチパチと数回瞬きをすると、意を決して神殿の中に足を踏み入れたのだった。