とある真夏の物語【完】
神殿の中に入ると、カイは一番奥にある部屋の前で立ち止まった。
『入るよ』
カイは、ちらりと私を見ると、部屋に入っていく。
…私も入って大丈夫かな…?
そう思いながらも私は、恐る恐る部屋の扉を開けた。
その瞬間、
『カイ様!!どちらに行っておられたのですか!!この爺やは心配しておりましたぞ。もうすぐパーティーも始まるというのに…ドタキャンなんかしたらせっかくの親睦会が台無しですぞ!』
『あー、はいはい!悪かったって』
そんな怒鳴り声の次には、気の抜けるよいなカイの声。
…絶対反省してないよ…
私でさえそう思った。
『全く…カイ様と来たら…』
その時、パチッと振り返った人と目があった私。
『あ、まなつ、まだそんなとこにいたのか?さっさと入って』
そう言いながら、カイはソファーにごろりと横になった。