とある真夏の物語【完】


『お、おじゃまします…』



私は、さっきの男の人…(見た目的に50代ぐらいの)にペコリと頭を下げながら部屋に入る。




『カ、カイ様、こちらの方は…?』




驚いたような表情のおじさんは、カイを見つめてそう言った。




『その子は、さっき、町に出たときに迷子になってたからひとまず、連れてきた。まなつって言うんだって、世話を頼むよ、サカキ、さて、オレもそろそろ準備するかな…』




ダルそうに立ち上がりながらカイはサカキさん(というらしい)にヒラヒラと手をふりながら隣の部屋に行ってしまった。





『……』




『……』




取り残された私たちの間には、なんともビミョーな空気が流れている。




ど、どうしよう…とにかく、何か会話!




そう思うがなかなか気のきいた言葉が出てこない。




その時、





『あの、まなつ様でよろしいですか?』




『あ、様なんかいりません、普通に呼んでください』




サカキさんから話かけてくれた。



< 93 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop