とある真夏の物語【完】
『お、おじゃまします…』
私は、さっきの男の人…(見た目的に50代ぐらいの)にペコリと頭を下げながら部屋に入る。
『カ、カイ様、こちらの方は…?』
驚いたような表情のおじさんは、カイを見つめてそう言った。
『その子は、さっき、町に出たときに迷子になってたからひとまず、連れてきた。まなつって言うんだって、世話を頼むよ、サカキ、さて、オレもそろそろ準備するかな…』
ダルそうに立ち上がりながらカイはサカキさん(というらしい)にヒラヒラと手をふりながら隣の部屋に行ってしまった。
『……』
『……』
取り残された私たちの間には、なんともビミョーな空気が流れている。
ど、どうしよう…とにかく、何か会話!
そう思うがなかなか気のきいた言葉が出てこない。
その時、
『あの、まなつ様でよろしいですか?』
『あ、様なんかいりません、普通に呼んでください』
サカキさんから話かけてくれた。