とある真夏の物語【完】
『まなつさんは…カイ様の素性をご存知ない…と…?』
『は、はい…』
私は、コクリと頷いた。
『そうでしたか…私はてっきり…カイ様の……いえ、妃の座…目当てだとばかり……失礼いたしました…』
深々と頭を下げながら私に謝るサカキさん。
『い、いえ…というか…妃って……?』
私の言葉にサカキさんがにっこりと微笑みながら口を開きかけた……その時、
バンッ
さっき、カイが入っていった扉が思い切り開かれた。
『……サカキ、オレが言う…』
そこにいたのは、まぎれもなくカイ。
…だけど、さっきまでのカイとは全然雰囲気が違う。
私は、驚きで目を大きく見開いた。
…ど、どういうこと?