とある真夏の物語【完】
*舞踏会への招待
*舞踏会への招待
私は、未だに呆然としている。
…まさか、カイが隣国の王子だったなんて…
その時、私の頭の中に一瞬、リュウの顔が浮かんだ。
『まなつ、頼みがあるんだ…オレ、実は、パートナーまだ決めてないんだ』
『パートナー?』
カイは、コクリと頷く。
私が頭に?を浮かべていると、さっきまで黙っていたサカキさんが説明してくれた。
――――
『…えっと、つまり、カイは、今日のパーティーのためのパートナーを探すために適当に町をプラブラしていて…そこで、私に声をかけたってこと?』
『う〜ん、ま、そんなとこかな。最初は、そんな気なかったんだけどさ〜ついでに頼んでみようと思ってさ』
そう言ってにこやかに笑うカイ。
私は、ため息をついた。
『あのさ、そういうのは、最初から、カイの国の子とか連れてくればいいでしょ?なんで、わざわざ…探したりしてんのさ?』
『……オレの国のヤツなんか…全員…』
…え?
一瞬、カイはすごく悲しそうな表情を浮かべた気がした…が、ハッとしたようにまた、さっきのにこやかな笑みで微笑んだ。
『…ま、いろいろとあんだよ、で、まなつは、今日1日オレのパートナーになってくれる?』